なる楽生活

なるべく楽に、なるべく楽しく。日々の暮らしの雑記。

「あやちゃんのうまれたひ」

母親が娘に、「あなたが生まれてくることを、家族みんなが楽しみにしていたよ。あなたが生まれてくれて、みんなとても嬉しいよ」ということを伝えるお話。

あやちゃんは昭和生まれだろうか。おうちにダイヤル式電話機がある。

 

あやちゃんのうまれたひ (こどものとも傑作集)

あやちゃんのうまれたひ (こどものとも傑作集)

  • 作者:浜田 桂子
  • 発売日: 1999/01/20
  • メディア: 単行本
 

 

この絵本を読むと、娘が必ず「ねぇ、わたしが生まれるときも、ままにはわたしの声が聞こえた?」とか訊いてくる。

うーん、おなかの中からは娘ちゃんの声は聞こえなかった。

 

「じゃあ、どんなだった?」

どんなだったかなぁ。

 

 

さむいさむい朝だった。

ママは、なんだかおなかが痛くなって、目が覚めたの。

ちょうどその日は最後の妊婦健診の日だったから、朝ごはんを食べて病院に行ったわ。

 

「妊婦健診って?」

 

ママと、おなかの中のあかちゃんが元気かどうか、お医者さんに診てもらうこと。

病院に着くころには、歩けないくらいにおなかが痛くなっていたわ。

看護師さんが、「きょうは他に(分娩予定の妊婦が)いないから、もう分娩室入っちゃいましょう」って言うから、ママはおきがえして、分娩室のベッドに横になって、もしかしたら帝王切開かもしれないって言われてたから、色々検査して、点滴も入れられたの。

 

「パパは?」

 

パパは、ママと一緒に分娩室にいて、ママとおしゃべりしていたわ。

ママはおなかが痛くなると、声を出さずにベッドの柵を握りしめていたから、パパは心配そうだった。

パパは何もすることがないから、帰っても良かったし、空いてるベッドで寝てても良かったのに、ずっと横にいてくれたの。やさしいね。

 

ママは、おなかが痛くなったり、痛くなくなったりするのをくりかえしていたわ。

そうしているうちに、お手洗いに行きたいなって思ったの。

 

「ちっち? うんちっち?」

 

うんちっちが出るかも、って思ったの。

看護師さんがお手洗いまで付き添ってくれた。

ろうかにはおばーばとおじーじもいて、ままがおなかが痛くて前かがみになって歩くのを見て、おばあさんみたいだなぁって笑っていたわ。

ほんとうにそうなの。腰の曲がったおばあさんみたいだったのよ。

ママ、じぶんでも笑っちゃった。きっと40年後にはそうなっているわね。

 

結局、うんちっちは出なかった。

そう看護師さんに言ったら、もしかしたら、あかちゃんが出てくるんじゃない? って言われたの。

ベッドに戻ったらお医者さんが診てくれて、もうあかちゃん出てきますよって言われて、ママはびっくりした。

 

「どうやってあかちゃんうんだの?」

 

おなかがぎゅーんと痛くなったら、かたいうんちっちを出すときみたいに、思い切りおなかにちからを入れて出すのよ。

それを「いきむ」って言うんだけど、ママ、いきむの上手だねってほめられたわ。

いきんだら、あかちゃんのあたまが出てきてね、もういきまなくていいですよってお医者さんが言ったの。

 

「うまれたあと、わたし、お風呂にいれてもらえた?」

 

お風呂には入ってないんじゃないかしら。

タオルでからだをふいてもらって、ママの横のあかちゃん用のベッドに寝かされていたわ。

パパはあかちゃんがうまれてうれしくて、ありがとうって言って泣いてた。

 

「ママも泣いたの?」

 

ママは泣かなかった。

やっとおわった! って思って、うれしくてほっとしたら、何か飲みたくなって、パパにおみずを買ってきてもらった。それから病院のお昼ごはんを食べたの。ご飯ばっかり多くて、もっとおかずの種類が多ければいいのにって思ったわ。

 

パパは、おばーばとおじーじにもおしえなきゃと思ってさがしたけど、ふたりは見つからなかったの。

おばーばとおじーじは、まだまだうまれないと思って、ラーメン屋さんで大好きな塩ラーメンをすすってたのよ。

パパがでんわしたら、あわてて病院にもどってきて、あかちゃんを見てほんとうに嬉しそうだったわ。

 

「ふぅーん、まま、わたしもラーメン食べたい。作ってね」

 

じゃあ、お休みの日のお昼はラーメンね。簡単でいいね。

 

おしまい

 

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