「うどんのうーやん」 NOと言わない生き方
娘がほぼ暗記している絵本。
出前に応じたきつねうどんのうーやんは岡持ちに入らず、自ら走ってお客さんのもとへ向かう。空腹に喘ぐ猫、海を懐かしむめざし、疲れた梅干し、いじめられた木綿豆腐… 道中出会った仲間に向けられるうーやんのあたたかさ。決してNOと言わないうーやんの器の大きさ。仲間と共に困難を乗り越えた先で、ついに本懐を遂げるうーやんの生き様を見よ。
この絵本も台詞は全て関西弁で、うーやん達の思いやりに溢れている。困っているひとを助けたいのが思いやりだし、その気持ちに素直に応じるのもまた思いやりなのだ。うーやん達のやり取りは見ていてとても気持ちがいいし、わたしもこうありたいと思う。
中でも一番好きなのがこの部分。
「おばあちゃん なんか げんきないのとちがう?」
「ハアー としとって あしこし よわなってなあ……」
「そら なんぎやな。 ここ はいり」
「ハァー ほんに ええ ゆや。 ぬくもるわあ」
「そら よかった。 かたまで つかって あったまってな」
うーやんみたいに弱っている人を自然と思いやれるようになりたい。
うーやんは困っている人を気遣いながらも、目的を遂げるため実に自然に困難に立ち向かう。行く手を阻む川があれば「わたるしかないやろ」、山は「のぼるしかないやろ」と、躊躇わず立ち向かう。うーやんは全てにNOを突き付けず、言い訳もせず、ただ受け入れてそれを越えていく。うーやんは「プロフェッショナル 仕事の流儀」や「情熱大陸」に密着されてもおかしくないほどに、静かに格闘している。ただ、お客さんにおいしいうどんを届けたい一心で。
↓岡田よしたかさんの食べ物シリーズ