「こんぶのぶーさん」 official髭男dismの歌う、出会える世界線を選べたお話
娘とわたしが好きな絵本シリーズのひとつ。
海から出てきたぶーさんが昼寝して、ふとしたきっかけで漫才コンビ結成を目指す。なかなか漫才の相方が見つからず、やる気をなくすぶーさんだったが、そこへお兄ちゃんのこんさんが現れて… というお話だ。
わたしが驚いたのが、食べ物が擬人化されているのに顔も手足もないことだ。うわぁ… 昆布がめざしと漫才してますやん。キャラクターの台詞は関西弁だ。関西弁ネイティブの人が羨ましい。これを完璧な関西弁で読みたい。韻を踏むのが好きなぶーさんは、official髭男dismのようだ。
そういえば、Pretenderという曲の歌詞、
もっと違う設定で もっと違う価値観で
出会える世界線 選べたらよかった
は、作者の岡田よしたかさんの描く世界観に通じるものがある。
この絵本はシュールなところばかりが目につきがちだが、試行錯誤の末に自分がなりたい姿になったぶーさんが素晴らしい。ぶーさんが最終的にしっくりくる相手に巡り逢えて、良かった。うまくいかなくても、色々やってみて、たまには果報は寝て待つのが夢を叶える秘訣かもしれない。
いっぽうで、そんな教訓みたいなことはどうでもいいや、とも思う。大人が読書に対して期待しがちな「この本が何かの役に立てばいいな」とか「この本から何か学び・気付きを得たい」という下心を忘れて、ただ娘と絵本の世界を楽しむ時間がとても贅沢に感じる。
↓食べ物が主役の絵本