アーノルド・ローベル展
立川市にある"PLAY! museum"で開催中の「アーノルド・ローベル展」を見てきた。
原画を見るとその繊細さに驚く。印刷物とはやっぱり違うなあ。空いていたので、思う存分近づいて時間をかけて見られて嬉しかった。
ずっと英語の音声が流れていて、これはなんだろう? と思っていたが、ローベル家のホームビデオだった。ローベルがハンマーで妻子に襲いかかる、という体のビデオ。誰よりもローベル本人が楽しそうだった。
ローベルの趣味の刺繍も展示してあり、この人は自分の手を動かして何かを創ることが大好きだったのだなとわかる。
会場入口
小学校の国語の教科書で読んだ「おてがみ」という作品がとても好きだった。わたしの記憶の中のその作品は、がまくんとかえるくんが玄関に二人で腰かけて、手紙が届くのを待っているところで終わっていたのだが、実際はかえるくんが手紙を託したかたつむりを二匹が迎える、という結末だった。
原文を読み、togetherという言葉の使い方が素敵だなと思った。
"Frog and Toad sat on the porch, sitting sad together."
"They sat there, feeling happy together."
物理的に一緒に、という意味を超えた「共感」ができる相手がいるっていいな。
かえるくんの少し引いた視点からがまくんを見守る姿勢など、友人というより、親のようだった。
制作過程で、編集者の"adorable!(かわいい!)"とか"I like it!(これ好き!)"などのコメントを見て、きっとこの人は自分がローベルの作品の一番のファンだと思っていたのではないかと思った。こういうふうにみんなで絵本を創り上げていたんだなあ。それにしても外国人の手書き文字の読みにくいことよ…
2時間ほどどっぷりとローベルの世界に浸り、最後に足を踏み入れたのはミュージアムショップ。まあなんとかわいい雑貨を用意したものだ。がまくんとかえるくんの刺繍入りのてぶくろにくつしたにL. L. Beanトートにスウェット。スウェットは"ALONE TOGETHER(ふたりきり)"のロゴ入り。展示会でややテンションがおかしくなっており、いつもなら絶対にロゴ入りの衣服など手に取らないのに、じっと見てしまう。すごく、かわいい。こういうとき、ヘタにお金があるといけない。「展覧会限定」の言葉が背中を押す。
しかし、スウェットそのものは確かにかわいいのだが、それを着たわたしが娘と手をつないで歩いていたら、どうだろう? 娘と"ALONE TOGETHER"。メッセージ性が高すぎないか。
というわけで、図録と絵本3冊を買うにとどめた。
この図録がまた豪華なのだ。展示内容がぎゅうぎゅうに詰め込まれていて、さらに展示内容にはなかったことも盛り込んであり、眺めていると幸せに浸れる。
"There is a little world at the end of my pencil."
ローベルの言葉だが、こどもの見ている世界にも共通するものがあるように感じた。
この展覧会は3月28日までなので、もう一度行けたらいいなと思っている。