なる楽生活

なるべく楽に、なるべく楽しく。日々の暮らしの雑記。

「ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく」感想

誰かの妻である7人の女性との対話と、著者の一田 恵子さんが思うことが綴られている本を読んだ。

 

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ムカついても、やっぱり夫婦で生きていく 夫と機嫌よく暮らす知恵

 

読んでみようと思ったきっかけは、わたしが「夫婦って何だろう」と思っているからだ。

 

去年から今年にかけて、夫の度を越えた不機嫌で家族の関係が悪化し、一度「このままだと離婚を考えるんだろうな」と思ったことがあった。半年から一年弱、夫婦って何だろうなと何度も考えたし、親しい人に「いま、こんな状態でこんなこと言われた」と伝えて、そこまでわたしに甘えるなって思ったよ、など、不満を吐き出したりもした。

 

 

 

話を聞いてくれた人たちはわたしに同情的だったし、わたしの気持ちが上向きになるように励ましてくれた。ちゃんと話し合ったほうがいい、とすすめてくれる人もいた。とても気持ちが楽になったが、それで夫との関係が好転するわけもなく、話し合う気にもなれず、食卓を囲んでも夫はむっつり黙っていて、わたしと娘だけが話す、という日々だった。休日に外に遊びに行っても、夫は娘にイライラして怒鳴り、娘がしょげて家に帰るようなことが多かった。

夫にも思うところがあったのか、はたまた不機嫌の元となる何かが解消されたのか、理由はわからないが、いまは不機嫌病発症前の夫に戻ったように見える。

 

我が家はそんな状況なのだが、山本 祐布子さんの一言に背中を押された。

(江口さんとは祐布子さんの夫)

 

祐布子さんは、毎日の中で起こるいろいろな出来事について、そして江口さんが手掛けることについて、あれこれ考えるところがあったとしてもあえて口にしないのだと言います。「言わないでおく。飲み込む、 って大事なことだと思うんです。私は思ったことをなんでもかんでも言うのが正しいとは思っていなくて……。夫婦でも親子でも、なんでも伝え合うとか、話し合うって、私は苦手なんですよ。話し合っている時間があったら、次のことやろうよって思うんです。話し合いで解決できることって少なくないですか?」

 

この本で一田さんがお話ししている女性の中には、毎晩23時から「わたしはこういうことを知りました。わたしはこう感じました。あなたはどうですか?」と夫と対話を重ねた結果、夫が変わったというかたもいた。

でも、わたしはそういう関わり合いって本当に人を劇的に変えるのかな、と疑問だ。自分に置き換えてみても、他人との関わりで自分が変わるとしたら少しずつ時間をかけて変わっていくのだと思うし、毎晩23時から圧迫面接を受けていたら洗脳されてしまいそうだ。そういう劇薬による変化は定着しないのではないかと疑ってしまう。

 

わたしは自分が夫を変えられると思わないので、ただ生活するうえで夫のそばにいる、というスタンスでいるしかない。山本さんの「話し合いで解決できることって少なくないですか?」という問いかけが、わたしを肯定してくれているふうに感じて、心が楽になった。わたしは夫に対して何も働きかけていないけど、まあ、それでも良いのかな、と。もしかしたら、わたしが普段と変わらずにただいるというのが、案外、夫にとっては良いのかもしれないし、わたしは夫の心に踏み込むようなことを控えて、ただ一緒にいるだけの人を続けよう。夫にムカついても、普段と変わらずにいる妻を目指す。きっとこれは、わたしが夫に対して望むことなのかもしれない。わたしがどんな状態でも、夫にはわたしの状態に影響されず、本質的に変わらずいてほしい。

 

 

あとは、「家」の在り方についても少し考えた。

一田さんは「家」についてこう書く。

 

共働きが増えた今、家の中は、家族があっちへこっちへと出かけては戻ってくる「通過点」になっています。 

 

わたしは家の中を、家族があっちへこっちへと出かけては戻ってくる「ベース」にしたいと思っている。それは「通過点」という感じではない。家でじゅうぶん休息を取って、リフレッシュして、またそれぞれが好きなところに出かけていける場所にしたい。

インテリアがどうという以上に、家族それぞれの過ごし方とか、どんな人が過ごすかで家の居心地が左右されると思う。家族がのびのびと過ごせる家にする、ということを忘れずに日々を過ごしたい。

2021年第11週 ふりかえり

3/15(月)~3/21(日)の支出

・食費 14,346円

・日用品 1,625円

◆合計 15,971円

 

祝日が土曜日にあたると、もともと土曜日が休みのわたしには全くありがたみがない。

祝日が土曜日に重なるときも振替休日にしてくれたらいいのに。

 

急に暖かくなり、近所の桜が咲き始めた。毛布も洗濯して仕舞おうかと思ったが、4月上旬でも寒い日はあるかもしれない、と思っていまだに毛布にくるまって寝ている。

 

Amazon Prime Videoでお預けを食らった「進撃の巨人」を2話まとめて見た。

エレンがけんか腰でミカサとアルミンと話していたのはどうしてだろう。仲良しの幼馴染と距離を置かないと実行できない計画があるのかなと思う。そうだとしたら勝手に距離を置けば良いだけで、わざわざミカサとアルミンにあんな言葉を投げつけなくても良かったのではないか。エレンを嫌いになりそうだ。エレン… 目が大きくて負けず嫌いでかわいかったエレンが懐かしいよ。

 

それから今回はリヴァイ兵長がクソとかゲロとか言うのを見て、相変わらず言葉が汚いなと苦笑。そして兵長は部下思い、というか、仲間思いだったんだよね、と思い出す。

ジークが突然「クソ婆さん」と言い出したので、一体どうした誰のことだと混乱する。後から分かったが、クソ婆さんではなく、クサヴァーさんだった。兵長も「あ?」って思ったことだろう。そこからのジークの回想シーンで、この変態サイコパスと思ってた人も、過去にいろんなことがあって、いろんな気持ちを抱えてこうなったのかと知り、そりゃちょっと精神的にアンバランスになっちゃうよね、と同情する。あと、ジークはエレンに会えてよかったよね。

いかにジークといえども、回想後の彼があんな派手なことすると思わなかったので驚く。そして兵長が心配になる。大丈夫なの… あと、馬。わたしは馬が好きなので、ひどい目に遭わされている馬を見ると悲しい。馬を巻き込まないでおくれ… なんて、今まで散々暴れまくってきた人たちに言っても響かないだろう。

 

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わたしの自由に使えるお金から、娘に「鬼滅の刃」の塗り絵と24色の色鉛筆を買った。週刊誌に連載するのに、こんなにきれいな絵を描き続けた原作者の人の技量と熱意に感動する。雨の休日に、少しずつ塗ろうね、と娘と言い合い、うきうきする。誰から塗ろうかな。娘には「わたしが煉獄さんを塗るからね!」と宣言されたので、隣のページのあかざの後ろ姿でも塗ろうかな。別のページの煉獄さんの隣には、えんむがいた。こうなったら鬼担当として、珠代さんも塗りたい。

 

↓先週のふりかえり

 

2021年第10週 ふりかえり

3/8(月)~3/14(日)の支出

・食費 12,703円

・日用品 3,036円

・医療費 1,450円

◆合計 17,189円

 

医療費はわたしの皮膚科受診。

医師の言いつけを守り、「ボディソープで洗ってもいい6箇所」だけをボディソープで洗い、処方された軟膏を塗っていたらたいぶ改善された。

しかし、ここでもう大丈夫だろうと思わず、最後の一つを駆逐するまで軟膏を塗り続ける。

 

 

日曜日のお昼過ぎ、外から娘を呼ぶ声が聞こえた。

「あ! 〇〇ちゃんだ!」と娘が良い、窓から顔を出してみると、確かに〇〇ちゃんと妹、お母さんがいて「あーそーぼー!」と誘ってくれた。

大急ぎで支度して、公園をはしごする。

子どもたちはBB弾を「びいびいだま」と呼んで、地面に落ちているそれを熱心に拾っていた。赤と黄色が一粒ずつ、白とクリーム色がたくさん。わたしも道に落ちているきれいな(と本人だけが思っている)石を拾っていたことを思い出した。

帰宅してから娘はそれをきれいに洗い、ジップロックに入れて引き出しにしまっていた。

 

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 娘がかわいく飾っていた水仙など

 

子どもたちが遊んでいるのを見る間、娘の友達のお母さんとおしゃべりする。

「娘ちゃん、うちの〇〇から嫌なこと言われた、とかって普段言ってません?」と尋ねられ、実際そんな覚えがなかったので、ないですよと答える。

「よかったぁ。実は、△△ちゃんのお母さんから、〇〇が△△ちゃんに『あっち行って』とか、『どいてよ』って言ったことで△△ちゃんが傷ついたって話があって…」

それはどういう場面での発言かを聞かないと真意はわからないんでないの? と思ったし、子どもから聞いたことをいちいち相手の保護者に言うんだ、ひょえーというのが一番の感想なのだが、まあ、あの子たちも人間なのでいろいろありますよねとお茶を濁しておいた。うまく濁せたかはわからない。でも、人に話して「うちの子は言ってないよ」と聞けたことで、少し気が楽になっていると良いな。

 

わたしならどうしようか。もし、娘が傷ついたと訴えてきた時は「〇〇ちゃんに悪意はなく、ただどいてほしかっただけじゃないの?」とフラットな方向に持っていきたい。日本語を話し始めて4年くらいの初心者同士のやり取りだし、人とのかかわりかたもこれから学んでいく5歳という年齢を考えて、無関心というのではなくておおらかに構えていきたい。

 

↓前回のふりかえり

「毎日石鹸で洗わないで」 皮膚科医のアドバイス

2019年の春、出張先で風邪と蕁麻疹の波状攻撃で仕事どころではなくなって以来、定期的に湿疹に悩まされている。

最も異常が現れやすいのはふくらはぎだ。日によって全然気にならなかったり、かきむしりたくなるほど痒くなったりするのだが、ふくらはぎから全身に広がるのを恐れ、皮膚科を受診した。

 

何度か診てもらったことのある医師に、今回も同じ症状なのですが、と患部を見せる。医師はライトを当てながらふくらはぎの湿疹を観察して、「湿疹かかぶれに間違いないね」と言う。

 

「湿疹やかぶれっていうものはね、何かが刺激となったときに現れます。心当たりはありますか?」

ないです。

「そうですか。まさか体中をボディソープで洗ったりはしていませんよね?」

毎日ボディソープで洗っています。

少し沈黙してから医師は訊いた。

「ボディソープを口に入れると、すごく変な感じしますよね?」

わたしは毎日ボディソープを飲んでいるわけではないのです…

それから、ボディソープを口に入れると変な感じがするのは、それを口に入れることを前提とされず、調味されていないからではないでしょうか… なんて言えない雰囲気。

「ふくらはぎってね、皮脂が一切! 出ない場所です。そこを毎日! ボディソープで! ゴシゴシ洗う必要はないんですよ」

 そうなんですか。

「そうなんです。毎日石鹸で洗ったほうがいい場所は、頭、首のまわり、わきの下、手のひら、足の裏、そして陰部。この6箇所です。それ以外はぬるま湯で洗えばじゅうぶんです。1週間に1度くらいなら石鹸で洗っても構いませんが、わたしはおすすめしませんね。石鹸で洗う必要はないんですよ。新陳代謝が盛んなお子さんならともかく」

医師は興奮しながらも、社会人としてのマナーを忘れていなかったようで、そこで口を噤んだ。

「新陳代謝が盛んなお子さんならともかく、あなたは代謝の落ちた中年なんだからお湯で洗えばよろしい」ということだなと解釈する。

 

「今回は、このお薬を毎日2回忘れずに塗ってください。よーく見て、もう湿疹が一つも残っていないな、って思うまでは毎日塗りましょう。絶対に途中でやめないでください。またぶり返します」

はい。ところでお風呂上りに乳液を塗っているんですが、それは続けて構いませんか?

「保湿は一番大切です。それは是非、続けてください。はい今日はもう結構ですよ」

ありがとうございました。

 

こういう泡だらけのCMをよく見る。

この商品に限らず、ボディソープのCMでは、例の6箇所(頭、首のまわり、わきの下、手のひら、足の裏、そして陰部)以外も泡だらけにしているので、すっかり「ボディソープで全身洗うもの」と信じ切っていた。

この受診を機に、毎日全身をボディソープで洗うのはいったん見合わせ、6箇所だけ泡で洗い、他はお湯で流すだけにしてみよう。

 

この話を娘にすると「そっか。清水先輩も、やっちゃんにそういうこと言ってたから、洗いすぎないほうが良いのかもってわたしも思ってたんだよね。ママ、洗いすぎだったのかもね」と、すでにハイキュー!!から洗いすぎは良くないことを学んでいた。娘は本当に人の話をよく聞いて覚えているなあ、と感心した。

2021年第9週 ふりかえり

3/1(月)~3/7(日)の支出。

・食費 17,350円

・日用品 217円

◆合計 17,567円

 

雛祭りと鬼滅の刃ハッピーセットがメインイベントだった。

雛祭り当日はわたしの両親とzoomを利用してオンライン雛祭りをしたし、

 

鬼滅の刃ハッピーセットは当日買いに行った。

 

土曜日は、「夫の機嫌を損ねないか」を基準に判断している自分に気づき、どうしようもないバカだと思った。

 

それセロトニンだ、お次はノルアドレナリンだと、忙しなく脳内物質が分泌されていたことだろう。そんなわけで、気持ちが疲れた週だった。

 

疲れたところで進撃の巨人(72話)を見て、もうだめだ、これ以上見ていられない! と停止ボダンを押す。サシャが死んでしまって悲しい気持ちをまだ引きずっているのだが、まさかニコロ・サシャのご両親・ガビがご対面とは。世間は狭いですね。ニコロの怒りに激しく共感し、ガビの言い分もわからないでもないが、君たち! それをサシャのご両親の眼前で繰り広げちゃ駄目じゃないか? 怒りと悲しみのあまりまともな判断ができない程度に狂っている人間を、悲しみに打ちひしがれた人間が制するという地獄絵図に、最近のアニメって人間のこんな深いところまで描いちゃうのですか… と頭を抱えてしまった。

原作者はサシャが女の子を助けて、サシャはガビに撃たれて、サシャが助けた女の子とガビたちが出会って、さらにガビたちがニコロと出会って修羅場、というのをいつから決めていたのだろう。

 

再生ボタンを押したらどかどかと兵団登場。でもそれまでのインパクトが強すぎて、この人たち誰だっけ、と思ってしまった。死んだ目をしたエレンもいた。何を考えているんだろう。ミカサとアルミンと三人そろっても、この子たちがまた同じ未来を求めることはなさそうだ。

 

エルヴィン団長がいて、リヴァイ班がいて、同期のみんなもいて、「心臓を捧げよ!」「駆逐してやるぅー!」って巨人と戦っていた頃が懐かしい。

そういえばリヴァイは「モテたことくらいある」って言っていた。もしかして、リヴァイ班のあの女の子のことを言っているのかな? リヴァイに身も心も捧げると決めていたあの子と、巨人がいなくなって平和な世界になったら二人が結婚する、というのを期待していたのに。女の子は死んじゃったし、どうやってもそんな夢みたいな幸せな終わり方はないだろうな…。

 

↓ 前回のふりかえり

 

「おしりびより」

娘のおしりはプリプリで、弾力がかたいゼリーのようなのだが、そんなおしりが空に浮かんでいる表紙を見て、ついつい手に取ってしまった。

 

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おしりびより

「おしり」とか「うんち」とかが大好きでたまらない時期は過ぎたとはいえ、娘はいまだにおしりもうんちも好きだ。お風呂上りもおしり丸出しのまま遊んでいるし、何かと「おしりプリプリ~ さわってもいいよお?」などと言っておしりを振ってふざけている。

そんな娘なので、「うええ、おしりびよりだって! なにこれ、早く読んで」と食いついた。

 

色々な動物のおしりが空を漂うおしりびよりのある日に、主人公の男の子が愛犬と散歩に出て家に帰るまでのお話なのだが、ほぼおしりしか出てこない。おしりといったらまあ、これは外せないよね、みたいな展開で、「ともだちへのおもいやりのきもち」とか「こんなんにまけずにやりとおすちから」とか、そういう教訓は一切ない。ただ、おしりが出てくるだけ。ただ、楽しいだけの絵本だった。こういう絵本も好きだ。

いつの間にか「夫の機嫌を損なわないように」生きていた

かなりの割合で「夫の機嫌を損なわないように」という基準で行動し、さらに娘の行動までも抑制している自分に気が付き、自分を殴りたくなった。

 

夫は不機嫌になると怒鳴る。それがわたしにはストレスで、娘が怒鳴られるのを聴くのが本当に嫌だった。娘を罵倒してほしくなかった。それから、単純に男の人の怒鳴り声を聞くのが嫌だった。

 

夫は普段は物静かで落ち着いているほうなのに、娘のするちょっとしたこと(自転車の練習をしていて夫と喧嘩になりふてくされるとか)でイライラして怒鳴る。娘は泣き、わたしは娘を庇ってますます夫は不機嫌になる。

 

娘が夫に怒鳴られないためにはどうすれば良いか? 夫を不機嫌にさせなければ良い。そう思って、なるべく夫の機嫌を損ねないようにしていた。テーブルに消しゴムのかすを残さないようにする。粘土で遊ぶと粘土のかすが散らかるので夫がいる時は粘土で遊ばせない。

それが普通になって、娘の行動を抑制したり、わたしが娘を怒っていることに気づき、これは相当不健全なのではないかと一人でぐるぐる考えた。

 

考えるきっかけになった出来事は土曜日に起きた。

天気も良く暖かかったので、わたしと娘は公園に遊びに行くことにした。

「帰りにスーパーで買い物するけど、夫くんも合流する? するなら家を出るときに連絡ちょうだい」と言うと、夫は「そっちが公園出るときに連絡して」と答えた。

 

目的の公園に行くと、期せずして同じクラスの女の子が3人と、きょうだいが1人、子どもが4人集まって遊ぶことになった。子どもたちは公園をはしごし、ケンカをしながらも何時間も飽きずに遊んでいた。

 

4時半、夫から「風呂入る」「とりあえず今日は買い物無しね」と連絡があった。短いLINEからでも夫の機嫌が悪いことが分かったが、この日買い物に行かなくても、食事に困ることはないのだし、もう少し遊ばせたら帰ろうと思っていた。楽しそうな娘を見るのは嬉しかったし、大人同士でお喋りするのも楽しかった。

 

5時を過ぎたのでそろそろ帰りましょうか、と言い合ったものの、子どもたちはいつまでも遊び続ける。

わたしは「お父さんが怒るから早く帰ろうよ」と何度も言った。

お父さんが待っているから、ではなく、お父さんが怒るから、と。

 

帰宅したのは5時半ころだった。

娘は玄関でスニーカーを脱ぎ、その場でそれをひっくり返して砂を三和土にまき散らした。それを見たわたしは「やめて、お父さんにまた怒られるよ」と、大きい声を出してしまった。

玄関が汚れるよ、ではなく、お父さんに怒られるから、と。

 

娘を脱衣所に直行させ、自分の荷物を置きにリビングに行くと、面白くない、という雰囲気をまとった夫がいた。

「どこまで行ってたの」

質問ではなく、文句だった。

それからひとしきり文句を言われているうちに、今まで目を逸らしてきたことに気付いた。

わたしは夫の機嫌を損なわないように生きている。そして娘にもそれを強要していないか?

 

「夫くんの思い通りにならなかったらわたしたちに怒るの? 一体なんなの? 最近、『夫くんが不機嫌になるから』って理由で、娘ちゃんの行動を制限したり、叱ったりしてるのが、本当に嫌だ、こんなの絶対におかしい」と言い捨てて娘のいる脱衣所に向かった。

 

娘に「ごめんね、お父さんに大きい声を出されたくないからって、早く帰ろうって何回も言って、そんなの変だよね。さっきの(スニーカーの)お砂のことだって、娘ちゃん、嫌だったよね」と謝ると、娘は「いいんだよ」と笑って、わたしの頭を撫でた。

 

「でも、今度から思い通りにならなくてお父さんが怒っても無視する。勝手に怒ってろって思う。お父さんの機嫌のことなんか気にしない」と宣言して、娘とお風呂に入った。

 

いつからかわたしは夫の機嫌を損なわないように注意を払って生きていたのかと気付き、そんな自分が気持ち悪かったし、なんて不健全な夫婦関係なんだろうとぞっとした。こんな家庭環境、娘に悪影響しかないだろう。

 

勿論、夫は毎日怒鳴っているわけではないし、わたしも毎日夫の顔色を窺っているわけではない。それでも、わたしの日常の選択が「これをしたら(しなかったら)夫の機嫌を損ねるか」を基準に決定されているのだとしたら、おぞましい。わたしはバカだし、親として最低だ。いつからこんなふうだったんだろう。娘にどんな悪影響を与えてきたのだろう。

 

もっとちゃんとしなくては。

大声なんかでわたしは動かない、と肝に銘じて生きる。

大声を出せば人が自分の思い通りに動くなんて、こんなに楽な方法がわたしたちに有効だと思わせたら駄目だ。

 

ご縁あって結婚した相手だから、できれば仲良く平和に暮らしたいと今でも思っているのだけど、こんな嘘っぱちの平和じゃだめだ。平和なように見えて、実際は全然平和じゃなかった。仲良くもない。

 

気づけて良かった。手遅れではないと信じて、考えて行動する。